平成28年度ナレッジ分科会ナレッジセミナー
REDD+の資金と支払い方法について

開催日時:2016年10月14日(水)15:00~17:30
会場:JICA市ヶ谷ビル(東京都新宿区)
主催:森から世界を変えるREDD+プラットフォーム ナレッジ分科会
テーマ:「REDD+の資金の支払いと方法について」
概要・プログラムはこちら

【Summary】

REDD+に必要なMRV (測定、成果報告・検証)などの技術的なルールは、2013年のCOP19で決まった「ワルシャワ枠組」などで整備され、現在のREDD+の主な論点は、REDD+を実施するための資金の確保と支払い方法に移っています。

REDD+の支払いについては、「最終的なCO2削減に基づいて定量的に行われるべき」という、結果に基づく支払い(リザルトベースの支払い)の考え方が基本です。しかし、CO2削減や森林保全(第3フェーズ)という結果が得られるまでには、事業・プログラムの立ち上げ(第1フェーズ)、技術開発・移転および試行(第2フェーズ)といった段階を経なければなりません。そのため事業途中で資金を得られる仕組みが模索されており、各フェーズでの実施状況に基づいて支払う、パフォーマンスに基づく支払い方法が議論されています。

「REDD+の資金の支払いと方法」をテーマにした今回のナレッジセミナーでは、REDD+の資金の現状と、リザルトベース/パフォーマンスベースといった支払いに関するキーワードについて説明があった後、カンボジアとラオスにおけるREDD+支払いの実情が報告されました。 最後のパネルディスカッションでは、今後の課題が話し合われました。

【Report】

当日のポイントを、プログラムに沿ってご紹介します。

発表1
UNFCCC等における気候資金関連の議論とREDD+の支払い方法について

森田香菜子氏(国立研究開発法人 森林総合研究所 国際連携・気候変動研究拠点 主任研究員) 

森田香菜子主任研究員より、今回のセミナーの導入として、REDD+資金の国際動向が説明されました。森林分野に関わる資金動員とその分配方法については、気候変動枠組条約(UNFCCC)下のREDD+だけでなく、生物多様性条約や国連森林フォーラムなどでも重要事項として議論されていること、また十分な規模の資金を確保するために、民間資金をどう取り込むかが今後の課題になることが指摘されました。

江原誠氏(国立研究開発法人 森林総合研究所 国際連携・気候変動研究拠点 主任研究員)

続いて江原誠主任研究員から、REDD+の支払いのキーワードである、「リザルトベースの支払い」と「パフォーマンスベースの支払い」について説明がありました。また、世界銀行森林炭素パートナーシップ基金(FCPF)や緑の気候基金(GCF)などの基金では、各フェーズでどのように支払われるか示されました。

発表2
カンボジアでのREDD+成果払いの事例共有

中田博氏(独立行政法人 国際協力機構(JICA)国際協力専門員)

中田博 国際協力専門員からは実務的な観点から、自らが体験したカンボジアでのREDD+の成果支払い事例が紹介されました。UNFCCCにはGCFという基金がありますが、現在の基金規模ではREDD+の成果支払いを継続できないことが指摘され、このような現状にあってカンボジアでは、マーケットで排出枠を販売する準備が進んでいると報告されました。

発表3
ラオスREDD+事業でのパフォーマンスに基づく支払いの事例共有

平塚基志氏(早稲田大学 人間科学学術院 人間環境科学科 講師)

平塚基志氏からは、ラオス北部のルアンプラバン県ポンサイ郡でのREDD+事業と、その支払いについて報告されました。途上国でREDD+を進めていくには、公平でかつ、事業推進に繋がるように効果的な支払い方法が求められていること、また、REDD+に協力することに、現地の人々がインセンティブ(動機)をもってもらえるように、時には先払いも検討しなければならないことが話されました。

パネルディスカッション

まず、成果に基づく支払いが、REDD+特有の支払い方法だということが確認された上で、第2フェーズから第3フェーズへの移行のために、短期的で実現可能な資金が必要だということや、森林経営に必要な資金を確保しなければならないことについて全てのパネリストは同意し、さらに今どのような用途に資金が必要か話し合われました。

次に、支払いについては、CO2削減という同じ結果を出しても、その国の事情によってそこへ至るまでに要したパフォーマンスが変わってくることから、パフォーマンスベースの支払いが妥当であること、パフォーマンスベースの支払いは少ない資金を有効に使う手段になることが強調されました。

その一方で、気候変動対策としてのCO2削減というREDD+の目的や仕組みから外れてしまう懸念も指摘されました。

加えて、同一の資金ではなく、異なる資金によりリザルトベース/パフォーマンスベースの支払いをうまく組み合わせることの必要性が指摘されました。最後に、資金の流れが生まれなければREDD+も動かないので、資金の確保が何より急務だと確認されました。

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